そいつは噓つきだった。どこからどこまでが噓で、どこからが真実なのか、そんなよく分からない奴だった。よく憎まれ口を叩き合った、「こんな奴と一緒に居られるか」と何度思ったか分からない。ただ、僕はその生き様にどうしようもなく惹かれてしまったのだ。あの日々を思い出すたび、胸の中心が体温を取り戻すような気がした。
ただ今は、どうか安らかに……ルカノール。
ここは地球とは違う不思議な世界。
ある日、神は人間に色と恩恵を与えた。
人間は近い恩恵のもの同士でかたまり、それぞれの文化を築いていった。
それから数百年の時が流れ、ある2人の青年が出会う。
ーーーーーーこれはある一人の男へと捧ぐ物語、そしてその者と出会い、別れた者達のための物語だ。