「悪いが、僕は君のことを愛していないんだ」
結婚式の夜、私の夫となった人、ルイス・ド・アスタリア第一皇子はそう告げた。
ルイスは、皇后の直々の息子ではなく、側室の息子だった。
継承争いのことから皇后から命を狙われており、十日後には戦地へと送られる人物。
生きて帰ってこれるかどうかも分からない、そんな男に愛されても迷惑な話だ。
「分かりました。皇子の帰りを、お待ちしておりますね」
戦地へと向かった夫を想い涙を流すわけでもなく、私は豪華な皇宮暮らしを楽しませていただいていた。
そんなある日、使用人の一人が戦地に居る夫に手紙を出せと言ってきた。
彼に手紙を送ったところで、私を愛していない夫はきっとこの手紙を読むことは無いだろう。
(それなら、少しくらい不満を吐き出してもいいわよね?)
そう思い、普段の鬱憤を詰め込んだ。悪意を込めて、夫に送る手紙を書いた。
……まさか、彼から返事が返ってくるとは微塵も思わずに。
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※エピソード7以降が連載版のみの話になります。
♡Ruhuna大賞第一審査突破
♡完結記念に主人公ロゼッタのイラストを掲載しています。カワイイです!