かつて、鈴木拓海はサッカーにすべてを捧げた少年だった。ボールを蹴ることが日常であり、ゴールネットを揺らす歓喜が彼のすべてだった。しかし、中学に進学し、夢だったサッカー部に入部した彼を待っていたのは、ピッチではなく、見えない暴力——部内SNSいじめ。心をえぐる言葉の嵐に耐えきれず、彼は学校に背を向けた。
不登校の日々の中で、人を信じる気持ちを失いかけた拓海。しかし、周囲の働きかけを受けて、ある日ようやく再び校門をくぐる。その時、予想もしなかった誘いが舞い込む——吹奏楽部への勧誘。半ば流されるように入部した彼は、ホルンという楽器を手にすることになる。
未知の世界。譜面と向き合う日々。音楽の厳しさと楽しさ。個の力ではなく、仲間とともに創り上げるハーモニー。音に触れることで、拓海の心の奥底に眠っていた「人とつながりたい」という感情が、少しずつ目を覚ましていく——。
8月。吹奏楽コンクール本番。たった12分間の演奏が、中学校吹奏楽部の一年間の評価を決める。今年も「ダメ金」のままなのか、それとも悲願の全国大会へと駆け上がることができるのか?それとも、銀賞、銅賞に沈むのか?緊張と焦燥が渦巻くなか、拓海は音で自分自身を、そして仲間との絆を証明する。
これは、一人の少年が「音楽」を通して失った信頼を取り戻し、変わっていく物語。吹奏楽部という小さな社会で生きる男子中学生の日常と、その成長の軌跡。まずは、夏のコンクールまで——。
一部リアタイのため、今年、賞が取れるのか、全国へ行けるか、結果は8月中旬に発表。
★今後、夏コンクール以降編、2年、3年の卒業までと、番外編でサッカー部編なども予定しています。
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