いじめにより孤独と絶望の中で生きる16歳の少女、コハク。
誰からも必要とされず、存在を否定され続けた日々の果てに、彼女は事件に巻き込まれ、見知らぬ異世界へと転移してしまう。
待っていたのは、訳あり勇者と過酷な旅路。否応なく魔王討伐の旅に駆り出される。
「魔王を倒せば、すべてが終わるのだろうか?」
残酷な運命に翻弄され、もがき苦しむ人生。
降りかかる理不尽と暴力、錯綜する善と悪の境界。
そこに正しさなど存在しない。
それでも彼女は、何かを求め、答えを探し進み続ける。
「どうして私ばかりこんな目に…」
倫理、モラル、希望と絶望。
異世界を舞台に描かれる、苦しくもどこか現実めいた"逃げ場のない物語"。
これは、英雄譚でも救済譚でもない。
消えかけた灯火のような命が、誰のためでもない旅路を強いられた記録。
たとえ、望んだ未来など、二度と訪れないと知っていても。
旅に終わりはないのに───。
たとえ願った終幕さえ、どこにも用意されていなくても。
それでも、彼女はもう少しだけ旅を続ける。