ブラック企業で過労死した私は、転生後の世界で「パプリカレッド」に任命されていた。
目を覚ましたら、全身ピッチリの赤いスーツ。胸元には「P」の謎マーク。目の前には妙に陽気な黄色いスーツの女がいて、開口一番こう言ってきた。
「おめでとう! 今日からベジタブルンジャーのレッドね!」
いや、誰が決めたんだよ!?
聞けば、前任のレッドが高齢で引退したため、ちょうど転生してきた私が補充されたらしい。おい、転職じゃなくて強制配属かよ!?しかも転生者だから強いでしょ? っていう雑すぎる理由で抜擢。いや、んなわけあるか——と反論する間もなく、周りにはキャベツグリーン(気だるげ)とビーツパープル(冷静沈着)が集合。どうやら彼らは「ジャンクガーデン」という悪の組織と戦っているらしい。
だが、問題が一つ。
私、人助けとか興味ゼロなんだけど?
それでも「レッドが悪の側についたら世界が終わる!」という超理不尽な理由で逃亡は許されず、しぶしぶヒーローとして活動する羽目に。