屋島の合戦。
義経に大役を押し付けられた那須与一宗高は、神仏の加護を念じながら平家が示した扇落としを完遂した。だがすぐに扇を拾い上げ船首で踊り狂う黒い大鎧の武者を義経の命により二射目にて射殺す。
その夜、義経に誘われるがまま松原へと分け入った与一は、夕暮れに射殺した黒い大鎧の男と義経が肩を並べるところに出くわす。
あまりの不気味さに逃げ出す与一はしかしすぐに二人に囚われ、義経が奇怪な言葉を並べて与一を「狭間」へと送り飛ばす。
目が覚めた与一は置かれた場は再び合戦の場。だが、その景色はあからまさに一変していた。見慣れぬ武具、見慣れぬヒトガタ、見慣れぬ敵に、見知った京の都。
狭間へ「流された」与一は命を繋ぐべく再び合戦へと身を投じる。
その手には大弓はなく、しかして狭間筒が握られていた。
「我こそは屋島の扇落とし!那須与一宗高であるぞ!日光権現よ斯くご覧あれ!狭間に轟く我が一射、現世の先まで届けようぞ!」
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
R15残酷な描写あり
最終更新日:2024年07月19日
シリアス 男主人公 和風 戦国 伝奇
読了時間:約22分(10,572文字)