隣の席の立花くんは、クラスのムードメーカー的存在だった。片や『わたし』は、クラスに一人も友達がいない地味な女。スクールカーストの上位と下位。決して交わることのない二人。……のはずだったのに、そんな立花くんになぜか絡まれる日々。 本当の気持ちを素直に表せない二人の、青春ストーリー。

大学入試センター試験が終わり、学校では本試に向け特別編成の授業が組まれている。わたしが受けている数学は、生徒は二人、先生はちょっと独特な雰囲気の人だった。先生に抱くこの気持ちの正体は？　わたしはこの気持ちをどうしたらいいの？　高校生活の最後、受験勉強の大詰め、それは案外穏やかな時間だった。

父は幼い頃に借金を残して失踪。借金を抱えながら女手一つで育ててくれた母は鬱病。代わりにバイトで家計を支えてくれている高校生の兄は、他人を信用できなくなっていた。同じ境遇にありながら正反対の性格に育った兄と弟が、気持ちをぶつけ合った先に見えてくるものとは──。

中学時代ブスと罵られいじめを受けていた環奈は、自分自身が醜い容姿だと思い込むようになった。鏡を見られなくなり、家族以外の人前で笑うことができない。どうしたら昔のように笑えるのか。本当の自分でいられるのか。環奈は従姉の協力を得て、前を向くために動き出す。

ちょっとお金に余裕のある一般家庭、バーキット家で活躍するお掃除ロボットのルン。家族から愛される彼は、しかし寿命が近づいていた。ルンの代わりに新たに購入された二代目ロボ、マルクとは折り合いが悪い。掃除することが自分の仕事なのに、役目を果たせない。その上家族に手を煩わせてしまう。生きる意味を見失った彼は、死を考え始める。

クラスメートの須藤燈真とは幼馴染みで仲も良く、『わたし』は彼に恋している。しかし彼に好きな人ができたと告白され――。 好きな人の恋を、応援できますか。それとも、諦めずに行動に移しますか。少女漫画のようにキラキラした恋と青春に憧れる少女がぶち当たった現実とは？ この作品はカクヨムでも公開しています。

　小学二年生の実里は、学校で喋ることができない。話したいことはあるのに、声はのどにつっかえて出てこない。冬休み直前の授業参観、実里のクラスでは一人ひとり調べものの成果を発表する。自分の声で発表するため、実里は担任の先生と声を出す練習を始めた。 　どうしてわたしだけ喋れないの？　どうしてわたしだけ、みんなと同じことができないの？　話したいことがある。伝えたいことがある。だからわたしに、自由な声をくださいーー。周りの人と同じように喋れない苦痛、恥ずかしさ。対等に接してくれないクラスメート。大人の中途半端な理解。それは八歳の実里にとって、生きにくい環境だった。

中学時代、可愛くて人気者だった親友のせいで、自分に自信を失った少女・捺。親友の隣にいる限り誰からも見向きされないと思い込み、劣等感を拗らせる。大好きだったはずの彼女へ抱く思いは、いつからか憎しみや嫌悪に変わっていった――。そんな親友の元から逃げ出したくて、彼女とは違う高校を選んだ。進学した先で出会ったのは、新たな友人。憧れの先輩、慕ってくれる後輩。様々な出会いの中で、捺は少しずつ自信を取り戻していく。そして、前に進むために、過去と、自分自身と向き合い始める。

野球も勉強も、周りの人たちより頑張ってきた。なのに、いつも人より劣ってしまう。そんな中学三年生、福原純平。彼はある日他校の同い年の少年、篠山と出会う。不思議と気が合い、お互いに人に言えなかった悩みや不満を言い合う二人。そして篠山は鬱憤を晴らすべく、陸上部の短距離のエースに百メートル走を挑もうとする。 　必死になって、何が悪い。必死にならなきゃ、人並みにも届かないんだ。笑いたきゃ笑え。バカにしてろ。邪魔なプライドなんて、捨ててやる。

同い年で幼馴染みの里沙とは、保育園で結婚の約束をした。彼女は毎年、バレンタインに手作りのチョコをくれる。他の人に渡すのとは違うラッピングの、特別なチョコだ。しかしそれは、『特別』なだけであって『本命』ではない。 好きな女の子の恋愛を、いつも隣で見てきた聡磨。今年のバレンタインに玉砕した彼女を、慰めることもできない。そんな自分の立ち位置に納得できなくなり、ついに関係を変えようと行動を起こす。