高校の水泳部に所属する律と咲。
同じ時間、同じプール、同じ距離を泳いでいるはずなのに、ふたりの心には微妙な“すれ違い”がある。
お互いに惹かれていながらも、言葉にできないまま、日々は過ぎていく。
練習、試合、文化祭、放課後の帰り道、交わす言葉や視線の中に、それぞれの「好き」が静かに揺れている。
この物語は、一つの出来事を「律」と「咲」それぞれの視点で描きながら進んでいく、両片想いのすれ違いと重なりを丁寧に描いた青春恋愛連作短編。
「あともう一歩だけ、近づけたら」
そんな“好き、の手前”で揺れるふたりの想いが、いつか同じ場所にたどり着くまでの物語。