王族の血筋を引く王国随一の公爵家の一員として生まれたヴァイオレット=ホルシュタイン。
彼女には喜びがわからない。
彼女には悲しみがわからない。
彼女には恋がわからない—————————
何故ならヴァイオレット=ホルシュタインは、かつて二千年生きた伝説の黒竜の生まれ変わりだから。
精霊王と呼ばれた黒竜は、全ての精霊を服従させる世界最強の存在であり、その権能は、人間に生まれ変わってもなお健在であった。
それなのに、公爵令嬢としての人生は前途多難である。
人間の心の機微をいっこうに理解できない彼女の言動は、型破りで規格外。
どうする、ヴァイオレット=ホルシュタイン?