全ての人間に善性が宿る理想郷。
命の価値は平等であり、立場の違いによる争いは起こらない。
犯罪を犯す悪人は絵本の中の創作にのみ登場する幻想の存在だ。
誰もが他者と手を取り、尊重し合える善人しかいない世界。
そんな理想論が日常と化した国「エイヴァロン」。
その世界には魔法がある。
魔法は人間にしか扱えない。
その世界には魔物がいる。
魔物は魔法を使えず、理から外れた力『異能』を操る。
その世界では善悪の基準は明確である。
人間が善で、それ以外の全てが悪だ。
そんな世界の法則から外れてしまった者はどう生きるのだろう。
青年は心を殺す毎日を送っていた。
己のうちに抱えたものが間違いではないと思いたくて、理から外れたモノの中に、大切なものが存在すると信じて、、。
正しさの暴力で精神を摩耗する彼、主人公『ラース』は日々、己の身を傷つけるのが習慣だった。
世界の基準から爪弾きされ、内に秘めたそれを隠す毎日。
そんな彼に突如として転機が訪れる。
この物語は、彼が人であることをやめることで始まる。
ぜひ、見届けてほしい。
人でなくなった化け物が選ぶ選択は、果たして間違いなのかどうか、、、。