大島裕也は、四十を一寸過ぎたばかりの働き盛り男盛り。そんな裕也が、左遷される事になった。子会社に移るか、退職か迫られる。裕也は迷いながらも、子会社に行く。裕也には若くして死別した妻、秋乃との間に男の子がいた。その正弘の事を考えると、今仕事を辞める訳にはいかなかった。
子会社に移り、取引先に行く事ななった。取引先の商談相手は、中森弥生と言う亡くなった妻の従姉だった。しかし中森と言う苗字を、知っている筈の裕也が忘れて思い出せなかった。当然覚えていると思っていた弥生は、戸惑い自分が秋乃の従姉である事を言いそびれた。
取引先に弥生の妹分で、離婚して元気のない住田房恵が居た。その房恵に裕也は惚れてしまった。やがて裕也も弥生が、従姉である事に気付いた。裕也を好きになった房恵は、裕也に誘われるままに関係をもった。弥生は複雑な気持ちで、なさぬ仲の二人を見守っていた。
家裁で調停と言う派手な離婚をした房恵だったが、二人の娘達に仕向けられ前夫の忠彦と縒りを戻す。いつかは別れなければと思っていた裕也だが、房恵一家の仲の良さを目の当たりに、見せられる結果となった。
子会社に移った時に、四十過ぎだった裕也も、五十路に近くなっていた。すでに正弘も、社会人になっていた。弥生も今の仕事を辞めて、故郷の尾道に帰って、父親の仕事を継ぐと言う…。尾道に帰る前夜…弥生は…