色がすべてを決める世界。 その濃さによって魔法の強さも、立場も、人生のすべてが決まる。 最上位に君臨するのは「金」。すべての色を奪い、支配する色。 最下層にいるのは、混ざりに混ざった末に生まれた「灰色」。 灰色の村で育った少年・カイは、自分の色に誇りも希望も持たずに生きてきた。 だが──彼は知らなかった。 自分の中に眠るのは、“銀”。 人に光を与え、力を引き出すことのできる、ただひとつの色。 その力は、奪うことで支配する「金」にとって、最大の脅威でもあった。 灰色として金の学園に潜り込んだカイは、そこで一人の少女と出会う。 赤と白の間に生まれ、力を持たぬことで虐げられる少女・モモ。 笑顔の裏にある強さに惹かれ、カイの運命は静かに動き出す。 ──やがて舞台は学園を越え、広大な“色の世界”へ。 色の境界が揺らぎ、古い神話が目を覚ますとき、 奪う力と、与える力の意味が、世界のかたちを変えていく。 これは、“色に抗う者”の物語。