あはっ—
エンピツを思い切り鼓膜に差し込んだ。
何度も—
何度も何度も—
好奇心には勝てなかった。
人生2度目の卒業式。
その瞬間に目が釘付けになって、体が無くなったみたいに動けなかった。
私には理解できない。だってそうでしょう?悲鳴を上げて…ううん。笑いながら叫んでる。
黒板を爪が剥がれる勢いで引っ掻くような、本能が忌避する叫び声が、耳の奥まで響いてくる。残響が中にへばりついて、もう何をしても無駄。
不快なんてものじゃない。
身悶えが止まらない。
思わず耳を塞いで押さえつけて。
それで治るわけないのに。
だから、両耳を手で覆って、中指で中を掻き回して神経を探すの。
叫び声も自分のだって気づいてないのかしら。
コレで悦ぶとかニンゲンじゃぁない。
クチュ—
みぃつけぇたぁぁ。
「—これが彼女に提出してもらった演技テストの映像です。どうですかね。卒業できそうですか?」
「いやぁ…。卒業…ったって。ねぇ?こんなおっかない演技見たことないよ。というか〜、この映像…本物?」
「というと?」
「コレ、本当にヤッちゃってない?演技じゃなくて…」
「い、いやぁ〜。ニンゲン卒業しちゃってる演技力ですよね〜」
校長は怖くなったらしく、さっさと卒業してもらうことにしたみたいだ。正直、俺もちびったさ。代行業者が来て、校長の秘書からの辞表と一緒に—
エンピツが送られてきたから—