神は、人間を愛してはならない。 それが天界の絶対の掟。 だが――火の神イグニスは、その禁忌を破った。 彼は人間に 「火」 を授け、ひとりの少女を愛してしまう。 「神をも殺せる槍《ネメシス》が放たれる時、すべてが終わる。」 極寒の夜、死にかけた少女・リリスを救い、 ともに過ごすうちに、彼の想いは 愛へと変わった。 しかし、その愛は 神々の裁き を呼ぶ。 イグニスを追う裁きの神。 彼を守ろうとする光と影の双子神。 未来を視る星の女神。 敵か味方かわからぬ戦の神――。 交錯する神々の思惑。 揺らぐ天界の秩序。 そして、炎の神イグニスが選ぶ 最後の運命とは――？

その転生は、一匹の龍と一人の王が遥か古に交わした約束だった。 魔法王国エルヴァントの王子キースクリフは、帝国軍の侵攻により祖国を滅ぼされ、母を失い、奴隷として売られる運命に堕ちた。 しかし、彼を買い取ったのは、謎多き魔導師ゼファルド。 師のもとで再び立ち上がった少年は、前世の知識と魔力を武器に、世界の歪みに挑むことになる。 肩に乗るのはかつて世界を震わせた伝説の龍王—— 今は手のひらに収まるほど小さな姿で、彼と共に運命を変えようとする存在。 亡国の王子は誓う。 「私は、必ず祖国をとりもどす」 病に倒れた王女を救い、現代知識を応用した雷と霧の戦術で敵を翻弄し、流通する金貨の偽造をも暴いてゆく。 この世界で戦うために必要なのは、剣と魔法だけではない。 ——彼の持つ“知恵”はやがて世界を覆してゆく。 帝国の陰謀と腐敗を暴き、かつて失ったすべてを取り戻すために。 亡国の王子と小さな龍王が仕掛ける、静かなる反逆と革命の戦記。 運命すら覆す「知略と魔法」の異世界戦記、ここに開幕。