「人生を変える物語を書いたはずだった。でも、それが俺の全てを壊した。」
夢だった作家デビュー。
その小説が映像化されることになり、制作チームと共に雪山の撮影現場で暮らすことになった俺、久遠ケンジ。
だが、誰も知らない。
この映画が完成する頃には、俺という存在がこの世から消えることを。
恋人を失い、仲間とのすれ違いの中で、俺は“自分自身”の物語を綴り始める。
完成まで9ヶ月。
それは、命のリミットでもあり、贖罪のための猶予期間だった。
——何を捨てて、何を残すのか。
最後に泣くのは誰か。
これは、たった一人の作家が「消える準備」をしながら、
“自分を生き直す”までの9ヶ月の記録。