作品一覧全2件
連載 52エピソード
政治家なんて、クソくらえだ。 俺、高遠 陸(たかとお りく)は、そう思って生きてきた。ゲーム会社で好きなゲームを創り、気の合う仲間と酒を飲む。それが俺の全てだった。親父が永田町でどんなデカい顔をしていようと、知ったことか。 ――あの男が、「心不全」というあまりに都合の良い死に方をするまでは。 親父の急死。涙も乾かぬうちに後援会に担ぎ出され、気づけば俺は、望みもしない議員バッジを胸につけていた。世間が言うところの、典型的な「ボンボン二世議員」の誕生だ。 退屈な国会、腹の探り合いばかりの派閥会合、頭を下げるのが仕事の陳情対応。永田町という名の伏魔殿で、俺は魂の抜け殻のように日々を過ごしていた。 だが、運命は、そんな俺を見逃しはしなかった。 親父の書斎で見つけた、一冊の古びたノート。そこに記されていたのは、にわかには信じがたい、巨大な陰謀の断片だった。 メディアを炎上させる、くだらない社会論争。国民がそれに気を取られている裏で、静かに、だが確実に進められる売国計画。この国の電力、通信、港湾――まさに生命線(ライフライン)とも言うべき重要インフラを、虎視眈々と狙うアジアの大国“中国”に売り渡そうというのだ。 そして、その計画を主導していたのは、親父の長年の盟友であり、この国の権力の中枢に座る、あの男だった。 ふざけるな。 軽い気持ちで首を突っ込んだ俺を待っていたのは、想像を絶する永田町の闇。親父の死は、ただの病死などではない。この国を売ろうとする裏切り者たちに、消されたんだ! これは、単なる汚職事件じゃない。 この国の根幹を揺るがす、まごうことなき『国家反逆罪』だ。 気づいてしまった以上、もう引き返せない。見て見ぬふりなど、できるはずがない。 ボンボン? 親の七光り? 上等だ。 連中が俺をそうやって侮っているうちに、こっちは牙を研いでおいてやる。 これは、世間知らずのボンボンが、亡き父が遺したたった一つの「情報」を武器に、この国のど真ん中に巣食う裏切り者たちに戦いを挑んだ、その全記録である
作品情報
推理[文芸]
最終更新日:2025年07月30日
ネトコン13 集英社小説大賞6 123大賞6 スピアノベルス大賞1 パッシュ大賞 男主人公 現代 内政 ミステリー HJ大賞6 逆転劇 国会議員 ネトコン13感想 読了時間:約270分(134,768文字)
連載 63エピソード
数千億円のディールをまとめる辣腕M&A専門家、黒澤 仁。 彼は過労の末、本能寺の変が目前に迫る1582年の戦国時代へ転生してしまう。 織田信長に仕える一人の文官「長谷川 仁斎」として目覚めた彼が持つのは、未来の知識と、武将や大名家の価値を数値化して見抜く特殊能力【査定(デューデリジェンス)】だけ。 「織田信長:企業価値・算出不能(Priceless)。ただし、経営リスク(謀反される確率)95%」 このままでは、最高の投資先(織田家)が、最悪のクーデター(本能寺の変)で紙くずになる。 そう判断した仁斎は、信長を「経営資産」として守るべく、現代金融知識の全てを注ぎ込んだ事業継続計画(BCP)を発動。史実の裏で、第六天魔王を救い出す。 これは、絶望の始まりではない。 日本という国を丸ごと買収(マネジメント)する、壮大なプロジェクトの始まりだ。 救った信長を“影の会長”に、羽柴秀吉を“営業部長”に据え、自らは“影のCEO”として采配を振るう。 合戦は「敵対的TOB」、政略結婚は「経営統合」。 冷徹な金融マンの視点で戦国の世を再定義し、天下統一という名の市場独占を目指す、前代未聞の国盗り物語が、今、始まる。
作品情報
歴史[文芸]
最終更新日:2025年07月29日
集英社小説大賞6 123大賞6 スピアノベルス大賞1 パッシュ大賞 ESN大賞9 男主人公 戦国 タイムトラベル パラレルワールド HJ大賞6 ネトコン13 歴史 織田信長 ネトコン13感想 読了時間:約251分(125,001文字)