システム障害の“火消し”に明け暮れる社内エンジニア・後藤亮太は、終わりの見えない深夜のトラブル対応に疲弊し、ついにオフィスで倒れてしまう。目が覚めると、そこは魔法使いが暮らす異世界だった。驚きつつも状況を把握しようとする後藤は、魔法学園を停学処分中の“落ちこぼれ魔法使い”リリアと出会う。
リリアは生まれつき魔法の才能が乏しく、独自のやり方で呪文を改変しながら、失敗を繰り返し練習を続けていた。一方、プログラムの規則性を熟知している後藤の目には、リリアが扱う呪文に“バグ”が潜んでいるように映る。<無限ループ構造>や<ヌル参照>など、プログラマーなら見逃せないエラーを次々と指摘し、彼は呪文の“デバッグ”を始める。
この“デバッグ”能力が認められた後藤は、リリアの監督役として魔法学園に滞在することとなった。魔法の改変は危険だと教師や生徒から警告を受けながらも、後藤は構文を丁寧に解析し、リリアが使いやすい呪文に組み直すことで、彼女が持つ可能性を一つひとつ引き出していくのだった。