一冊の本を巡る奇々怪々な体験。読まなくてはならない。知らなければならない。だが読み終えた者の末路は一つだ。
曰くその本を読破した者は自殺する。
不良大学生高戸和也は鬱屈とした日を過ごしていた。幼馴染の有馬鉄平が自殺する直前に読んでいた「月光」という本。アイツが自殺なんてするわけがない。もしかしたらこの本に何か秘密が隠されているのではないか。そう思いつつも不思議と読む気が起きない。
そんな折近彼の大学に近頃出没している美少女、久留主佳蘭と出会う。高戸は佳蘭と共に月光を読み始め、二人は怪異に囚われた。
富永弥という男の悔恨録の結末を、この世でただ一人、高戸和也だけが見ることが出来た。それは魔女である久留主佳蘭の想定を遥かに上回る恐怖。なぜ幼馴染の鉄平が「月光」を手にしたのか。その謎の果てに、男は決意した。
いずれ必ず訪れる終末の地獄へと至る始まりの物語。月の光に導かれ、あなたはきっとそこへと辿り着く。