麒麟と狼――それは、『正しさ』と『強さ』の象徴だった。
かつて混乱の大地を治めた王には、神の使いが仕えていたという。
ひとつは狼――力で敵をねじ伏せる、獣たちの王。
もうひとつは麒麟――清らかな心で人々を導く、聖なる存在。
神は告げた。「狼は汝に力を、麒麟は汝を正しき道へ導かん。」
だが、王の死とともに国は分かれ、獣がはびこる混沌の時代が訪れた。
そして、狼も麒麟もその姿を消した――。
神の言葉は聖典となって語り継がれたが、信じる者、疑う者、そして利用する者。人の心は三者三様に揺れていた。
そんな中、獣に襲われた一人の少年がいた。
彼を救ったのは、『麒麟の化身』と呼ばれる女兵士。
少年は剣を取り、運命を背負いながら、自らの道を歩み始める。
『正しさ』とは何か。『強さ』とは何か――その答えは、どこにあるのか。
彼らの優しい心は、やがて人々の思惑に翻弄されていく。
※シリアスな世界観ですが、キャラクター同士の掛け合いにユーモアが混じる様を目指しました。本編が完結したら、彼らの日常(バタバタ風景)も描いてみたいと考えているところです。