かつて、人類が滅亡の危機に瀕する世界を巻き込む大きな戦いがあった。
「神の裁き」と言われるその戦いは、数多の国や文明を滅ぼし、全ての痕跡を押し流してしまう程の物だったと記録されている。
わずかに生き残った人類は、もはや人が住めなくなった地上を放棄し、かつての文明の遺産である地下都市に、生活の場を移していた。
新たな生活の場を得た人類は、新しい「神」を創り、新たな国を興した。新たな国は「神」に「選ばれた者」と「そうでは無い者」とにわけ、選民意識による歪んだ統治を行っていた。
「裁き」以前の科学や技術を継承する者がいなくなった新しい「国」では、過去の記録により、その知識を「選ばれなかった者」に「焼き付け」「ヒト型二足歩行重機」〈Heavy Machinery Automata〉通称H.M.Aの13人の専任オペレーター「マリオネット・コネクター」として、自分たちが放棄した地上での数々の危険な任務に就かせていた。
「SIN」は13人の専任オペレーター「マリオネット・コネクター」の中でも特異な存在だ。彼は全ての「マリオネット・コネクター」の中での「初めの一人」であり、全ての基となる存在だった。しかし、彼はその事で特別な待遇を与えられているわけではなく、逆に、まるで誰かが彼の存在を消したいかのように過酷な任務ばかりを命じられていた。
絶望とも言える過酷な任務の毎日の中、彼は数少ない選択肢の中から生き残る事を選び続ける。
シリアス 男主人公 未来 ロボット
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