「怨霊を封じる。今はただ、それだけを考えようぞ」 天狐の姫御前・葛葉は旅立つ。 ヒトと人妖との戦の果てに解き放たれた大いなる禍、猛毒の怨霊を、再び封じるために。 ちょっと口が悪くて底抜けにお人好しな刀遣いの青年を相棒に、童女姿をした天狐の古老や、勝負事が大好きで事あるごとに絡んでくる気紛れ鴉天狗らと力を合わせ（？）、世界の命数を背負って暗中模索の五里霧中。 神代を継いだ一族の末裔、瑞宝。木霊、鵺、そして人間。 ――月の沈まぬ夜明けの、幻に似た、奇異なる、はなし。 ※自サイトからの転載です。 ※『ファンタジースキーさんに100のお題』をもとにした連作短編です（お題配布元サイト閉鎖）

「名前を呼んで」 異能を抱え、長らく独り籠の鳥であった少女は、ある早朝密やかに出奔する。 もうこのままではいられない。 ここではない遠くへ。 自分の形を見失うその前に。 焦燥と、決意と、憧れ続けた外の世界への期待。 胸を焦がすいくつもの想いを道標にして、娘アリアは進む。 舞台は、人と長生種が共存する、森と湖の大公国。 異能の少女が抱く願い そして志すものとは──？ ※自サイトからの転載（改稿あり） ※ノベリズムにも掲載しています。

ややお疲れの主婦が、何気なく立ち寄ったフリーマーケットでぬいぐるみを購入したお話。

郵便受けに届いたハガキ。 どうやら誤配達のようだ。

細部までこだわり抜いた私の家。 どうしよう、快適すぎて自宅警備員になってしまいそうなんですけど。

幸せはいつもここにある。 屈託なく笑う、最愛の妻と共に。

とあるネット小説書きの、日常の一コマ。

キミと家族になる、その日のために。

結婚式を三週間後に控えた週末。 お菓子作りと甘いものが大好きな美乃梨は、ひとりキッチンで懊悩していた。

長き戦乱の末、ようやく成った二国間の和平。 嫁いできた姫君と王太子、二人にはまだまだ時間が必要だった。 「ゆっくりと少しずつ歩み寄ってゆきましょう」