シミュレーションでは無敗。絶対に負けるシナリオにすら勝利を収めた天才指揮官、凍咏ハヤブサ。
彼が指揮することになったのは、敵の侵攻で全てを失った女子高生、煌舞アラセだった。
「アンタの指示には最ッ低限は従うけどな、オレの指揮官はアンタじゃねえ。オレはアンタを信用してねえ」
女子高生らしからぬ、勝ち気で喧嘩っ早いアラセは、常に冷静冷酷、緻密な指示を出し続けるハヤブサに反発。
ハヤブサは敵意剥き出しのアラセの扱いに苦悩しながらも、彼女の信頼を勝ち得るため、研ぎ澄まされた指揮能力を更に磨きあげる。
潰走を重ね国土を奪われ続ける皇国陸軍。その中でも二人は、反目しぶつかり合いながらも、同じ部隊のベテラン・揣廻タイヨウや、"吸血令嬢"の異名を持つ指揮官・狡明ミオたちと共に、次々と敵の防衛線を食い破っていく。
「貴女を死なせない。怪我ひとつさせない。この作戦の指揮は、俺が執ります」
感情を失った青年と、故郷を焼かれた少女が出会った、うだるように蒸し暑いトーキョーの戦場で。
ふたりが、英雄的変異戦闘狂──ヴァリアントと呼ばれるようになるまでの、人類絶滅前夜の物語。