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連載 5エピソード
40歳、就職氷河期世代。 非正規雇用を転々とし、ついには老いた母の介護で働くことすらできなくなった俺――葉山義久。 父は災害で早くに他界。支援の網からも外れた母子家庭は、財布に十円すら残らない極貧生活へと落ちていった。 「お願い……わたしを、殺して」 アルツハイマーを患った母の言葉は、悲痛の極みだった。 その願いを叶えた俺は、自責と絶望の果て、自らも命を絶つ。 だが――その瞬間、あの古びたお稲荷さんの祠が、青白い光と共に語りかけてきた。 「見とったぞ。ようがんばったな。ひとつ、来世をやろう」 気づけば俺は、代々総理大臣を輩出する名家の御曹司、葉山悠真として転生していた。 金も、地位も、未来も約束された“上級国民”。 使用人も教育も最高レベル。だが、そこに“貧困”も“痛み”もなかった。 幼い頃から前世の記憶を持ったまま育つ中、俺はこの社会の異常なまでの格差に気づく。 下級国民は存在しないことにされ、上級国民だけの「檻のような理想郷」が築かれていた。 でも――俺は知っている。泥だらけでも、必死で生きる子どもたちの存在を。 「今度こそ、誰かの“生きたい”を守れる社会を作る」 幼い俺は、AI〈chatGPT〉と手を組み、匿名で教育・医療・福祉支援の仕組みを構築し始める。 それはやがて、少年企業家としての伝説となり、政界への足がかりとなっていく――。 「おにぎりすら買えなかった俺が、総理大臣になって、この国を変える」 これは、ただの成り上がりではない。 絶望の果てに生まれ変わった男が、もう一度この世界を信じるために歩む物語である。
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー] R15残酷な描写あり
最終更新日:2025年03月30日
読了時間:約15分(7,456文字)