神聖セントレア王国――世界第三位の大国。その巨大な軍を支えるのは、名家の子息や貴族の令嬢たち。だが、その最下層に“孤児”として名もなき少年が入隊した。
名は、千寿蓮也(せんじゅ れんや)。
身分も家柄もない少年に与えられたその姓は、かつて滅びた「聖十五血族」の一つ。唯一の家族と呼べる老人――今は亡きとされる元大元帥――に与えられた、その名の重みはあまりにも大きかった。
誰よりも臆病で、誰よりも弱かった少年は、厳しい軍の訓練小隊に放り込まれ、理不尽と戦場の入り口に晒されていく。罵倒、命令、差別、そして仲間の死――それでも、彼は立ち止まらない。
これは、名もなき少年が「英雄」となり、やがて王国を背負う「大元帥」となるまでの物語。
その背に背負うのは、亡き者たちの誓いと、誰にも折れなかった意志。
滅びし血族の名にかけて――千寿蓮也は、今日も前に進む。