現代で過労により倒れた獣医師レオンは、気づくと見知らぬ森の中にいた。目の前には傷つき倒れた巨大な狼のような魔獣。そしてその傍らで泣きながら助けを呼ぶ少女。咄嗟に応急処置を施した彼は、自分の知識がこの世界でも通じることに気づく。
「命に人間も魔獣も関係ない。治せるなら、治すだけだ。」
そうしてレオンは、異世界で“魔獣専門の獣医師”として第二の人生を歩み始める。だが、彼の診療行為がやがて、この世界の魔獣にまつわる古代の秘密へとつながっていくとは、まだ誰も知らなかった――。
⚪︎舞台:異世界『ファルメリア』
魔法と剣、そして魔獣たちが共に生きる世界。魔獣は人々の生活に欠かせない存在である一方で、暴走したり病気になると脅威にもなる。そのため、“魔術医”と呼ばれる専門家が存在するが、その数は少なく知識も乏しい。
⚪︎主人公:神崎レオン
30代前半の伴侶動物臨床獣医師。現代日本で動物病院を開業していたが、ある日過労死し、目を覚ますと異世界ファルメリアの辺境の森に転生していた。知識と経験はそのまま、言語も魔法によって問題なく理解できる。
⚪︎魔獣
多種多様に存在。中には人と心を通わせる個体も存在する。魔力のバランスや感情の変化が健康に大きく関わる。