春、能登のローカル線で出会ったのは、28歳の車掌・青山航と高校2年生・雪哉。
淡い憧れから始まった想いは、やがて誰にも言えない本気の恋へと変わっていく。
そんな中、数学教師として東京から赴任してきた矢崎蓮。美術部顧問でもある彼は冷たくもどこか孤独を抱えているように見えた。
モデルとして描かれるうちに、雪哉は矢崎への憧れと恋の間で揺れ動き、戸惑いを隠せなくなる。
そして、矢崎もまた心に深い傷を抱えており、雪哉との関係に少しずつ変化が――。
恋に溺れる自分を止められず、でも「愛」とは何かに迷いながら、それでも誰かを信じたいと願う雪哉。
その先に待っていたのは、涙と夕陽に包まれた“再出発”の列車だった。
静かな海とローカル鉄道が見守るなかで、少年は恋を超えて「愛」に辿り着く。
心を揺らす、春の恋と旅の物語。
――「君が笑うとき、僕は恋を知った」
少年が“愛”を知るまでの、やさしくてせつない物語。