満月は遥か彼方、その水平線に沈みゆく。海面に光り輝く永遠の旋律を伸ばしながら。眠りから醒めんとする魂に最大の光を与えながら。
透明となった自らは、月と海と……贈る調べと一体となる。自らの魂を込めたこの箏奏は最愛の、その魂を呼び覚ます。
呼び覚まされし魂は、眩い月を揺らすほどに透明な歌声を響かせる。その歌声は贈る調べと調和して、果てなく広がる海を永遠に青白く輝かせる。
月は海は、この調べは、彼女に永遠の生を与えるであろう。たとえ、自らの生が消えてなくなる日が来たとしても。
※この作品は「ノベルアッププラス」「ステキブンゲイ」「アルファポリス」にも掲載しています。
悲恋 青春 ネット小説大賞九感想 箏 歌 愛 別れ 生 死
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