この作品『夢の中へ』はタイトルこそ井上陽水の名曲から拝借したものの、実際は夏目漱石の小説『夢十夜』のフォーマットを活かして書きました。令和に生きる自分なりの解釈で妄想と現実の間を行き来するアラフィフ男の姿を描きつつ、偉大なる先人へのオマージュになっていればこの上なく幸いです。
原作『夢十夜』に同じく十の夢の話をベースに構成されておりますが、物語の都合上夏目漱石の原作でいえば第十夜から第一夜に向かって逆方向に遡る流れになっています。自分独自にオリジナルのプロットも入れたいなと思い、料理におけるスパイスを少しだけきかせ、仕上げたつもりです。
それでは少しだけ奇妙な夢の世界を、どうぞお楽しみください。
二〇二五年五月 住川 奏