郊外の製造工場で交代勤務をしている主人公は、
ある日、夜中の巡回中に“使われていないはずの仮設詰所”に明かりが灯っているのを目にする。
中にいたのは、見知らぬ作業員。
点呼表には“藤谷 崇”という名前――だが、そんな男は、三年前に夜勤中の事故で亡くなっていたという。
「でも、点呼には返事があるんだよ」
交代勤務が日常を侵食していく。
そして気づいたときには、自分の名前が、どこにも存在しなくなっていた。
交代とは、何を引き継ぐことなのか。
“次”になることの、取り返しのつかなさを描く短編ホラー。
現代 職業もの ホラー 短編 夜勤 工場
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