近嵐明人(35)は、「肝心な時に不幸に襲われる呪い」と、女性の顔が見えない病に悩まされながら、小学5年生になる義理の娘のハナを育てていた。
ある年のクリスマス、ハナが楽しみにしていたケーキをドブに落とし、悲嘆に暮れる近嵐の前に、巨大なライオンが姿を現した。
恐怖に震える近嵐に、ライオンは二年間の賭けを提案する。
私を好きになって、求婚しなければ、望みの物が何でも手に入る。
「ライオンなんか、好きになるわけないだろ」
不意に始まった、共同生活。負けるはずのなかった賭け。
近嵐の気持ちは一緒に暮らすうちに、少しずつ、変化していく。
賭けに負けた時の代償も知らないまま。