♣︎十年前に変わってしまったこの帝国を、俺があるべき姿に戻してみせる。
十五歳の誕生日という節目に『獣の因子』に覚醒する者が現れ始めた十年前、ベスティーナ帝国は変わってしまった。
獣の因子への覚醒者『獣人』達への優遇制度が作られたのだ。
因子の種類によって決まるランクと、クラスという獣人にのみ現れる階級。それが紋章としてそれぞれ右手、左手の甲に現れるため、明確に身分が決まるようになった。
それだけならまだ良い。
確かに、獣人は普通の人間より高い能力を持っている。覚醒した時点で身体能力、知能などは格段に向上するという。しかし問題は、この帝国の中心である貴族のほとんどが、政治なんて知らない、たまたまランクの高い因子や高いクラスに覚醒した獣人であるということだ。他国との関係も、すでに崩れつつある。
主人公・猫宮クロは、そんな帝国を自分の手で変えたいと思った。天からの授かり物である因子やクラスではなく、自分の力で。
だがクロはその日、猫の因子(ランクB)のクラスⅠに覚醒する。
自分が嫌っていた獣人という存在に、自分自身がなってしまったという葛藤を抱える暇もなく、クロは大きな決断を迫られる。
今年設立した、その地域だけでなく全国各地からも優秀な獣人男子を集めた、帝国最上位の学園…帝王学園への勧誘。
帝王学園では、皆が未来の帝国の指導者『帝王』や高位貴族を目指し、スペード・ハート・ダイヤ・クローバーの四つの派閥(寮)に分かれて競い合う。
帝王学園からの勧誘を受けるか、受けないか。
その先に待つ未来を思い描いて、決断する。
そしてクロは進む。理想の未来へと。
男主人公 学園 獣人 覚醒 いずれ主人公最強 成長 帝国 能力
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