作品一覧全2件
連載 53エピソード
アンドロイドのメイド「ヒナ」は、静かに業務をこなしている。掃除、食事の準備、室内の整備。すべてはプログラムされた動作であり、彼女に迷いや感情は存在しない。しかし、ヒナにはひとつの習慣があった。業務を終えた後、今日の出来事を日記に記録するのだ。 「本日、食器を片付ける際にスプーンが一瞬宙に浮いた。私の手は確実に離していない。この現象は偶然か、それとも別の要因があるのか。」 「掃除中、床に小さな紙片を発見。誰も書いた覚えがないはずなのに、そこには『また明日』と記されていた。この筆跡の解析は可能だろうか。」 「時計がほんの数秒ずれていた。時間とは絶対的なもののはずなのに、私にはそのわずかな違いが不可解に思えた。」 些細なトラブル、不思議な出来事。それらはただの日常の一部であり、ヒナは淡々と記録を続けていく。しかし、ページが積み重なるたびに、彼女の内部にわずかな違和感が生まれていく。それは単なるデータの蓄積ではなく、何か別のもの――夢と呼ばれるものなのか、あるいは感情の片鱗なのか。 記録し続けることで見えてくる世界。アンドロイドのメイドが綴る、小さな日常の記録の先にあるものとは――。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2025年06月28日
ほのぼの 人外 現代 アンドロイド 日常 私小説 日記 読み切り 読了時間:約138分(68,850文字)
連載 15エピソード
――あなたには、戻りたい過去や見たい未来はありますか?―― 現状に強い迷いや後悔を抱えたとき、 あなたの前に、そのタクシーは現れる。 古びた車体。黒い手袋の運転手は静かに問いかける。 「どの時間に行きますか?」 行き先は、過去でも未来でも、お好きな時間へ。 ただし、対価として支払うのは“記憶”。 移動する年数ぶん、あなたの記憶は失われる。 目的地に着くまでのひと時が、その決断を“最終確認”する時間となる。 迷いは許される。けれど、選び直すにも代償が必要だ。 誰もが、心のどこかに"実現させたい瞬間"を持っている。 でも、本当にその願いは正しかったのか。 記憶を手放した先に訪れるのは、救いか、それとも――より残酷な現実か。 これは、時を越え、記憶を代償に進む灯火たちの物語。 そして、忘れることでしか前に進めなかった人々が、 それでも"何か"を灯して降りていく、静かな旅の記録。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2025年06月23日
シリアス 昭和 平成 現代 未来 タイムトラベル パラレルワールド タイムリープ タイムマシン タクシー 読み切り 読了時間:約54分(26,807文字)