物語は、語られることで世界になる。
村の少年ライナは、ある日“語られぬ存在”となり、誰の記憶からも消えかける。
ただ一人、妹ユリアだけが、兄のことを忘れまいとノートに日々を書き綴る。
彼女の想いに導かれ、ライナは「姿なき獣」と出会い、自らの物語を探す旅に出る。
パンの香り、無言で鍬を振るう姿、誰かを守る背中――
語られ、記されることで、存在がかたちを取り戻していく。
村には今も、兄を信じて待つ妹と、消えた少年を悔やみ続ける幼馴染がいた。
後悔、希望、贖罪、そして新たな物語。
やがて吟遊詩人が村に訪れ、“忘れられた旅人と黒き獣”の物語が再び語られ始める。
――語られた物語が、再び世界を照らす。
“存在とは何か”をめぐる、静かで優しい群像ファンタジー。
カクヨムと同時掲載です
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
残酷な描写あり
最終更新日:2025年06月27日
男主人公 西洋 中世 群像劇
読了時間:約163分(81,052文字)