この世界は、もうすぐ終わる。
そう、なんとなく思っていた。
誰もがスマホ越しに誰かの不幸を消費して、誰かの絶望に「いいね」を押して、
それでも明日が来ることに慣れてしまったこの国で。
高校二年生の希音(ねの)は、何かを信じることをやめていた。
ある日、彼女は一冊の古びた本と出会う。
それは未来を“予言”する本だった——そして、書き込んだことが現実になる「予言書」だった。
試しに書いた一文が、日常を“書き換える”。
やがて現れる、もう一人の「書き手」。
筆跡が交錯するたびに、現実は揺らぎ始める。
これは、終末に向かう世界で、
言葉を武器に世界を書き換える、
ひとりの少女の、ささやかな抵抗の物語。