作品一覧全2件
代表作 連載 完結済 12エピソード
1980年代の名古屋を舞台に、繊細な少年・正木理央が「親友」という仮面を被ったサイコパス的な少年・ヒロシに心を破壊されながらも、やがて自らの「弱さ」を逆手に取り、人生を這い上がる青春ドラマ。 ■ 核心テーマ 「虐げられた者こそ、最も強くなれる」 ・女性のように繊細で傷つきやすいことがコンプレックスだった少年が、その"弱さ"こそが自分の長所だと気づくまで。 ・管理教育の圧力と「毒親友」の二重支配から、どうにかして自分を救おうともがく姿。 ・最終的には「自分らしさ」を受け入れ、夢を叶えるまでの軌跡。 ■ こんな方に刺さる ✓ いじめや孤立経験を「バネに変えたい」と思っている人。 ✓ 自分の弱さを長所に変えるヒントが欲しい人。 ✓ 昭和の懐かしさと重厚な人間ドラマを同時に楽しみたい人。 ✓ 「毒親友」との関係に苦しんだ経験がある人。 「お前の弱さは、実は誰にも真似できない武器だ」 ——かつての加害者たちを尻目に、世界へ羽ばたくラストシーンは、すべての「傷ついた少年時代」を抱える人々へのエールです。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2025年07月14日
読了時間:約88分(43,537文字)
連載 完結済 11エピソード
罪状は、実に些細なものだった。中学生が土曜日に繁華街を歩いていた──ただそれだけ。 美術教師が引用したのはは、マイヨールの『とらわれのアクション』——縄に縛られ、もだえ、抗う女性の肉体を彫り込んだ、あの大理石の彫刻だった。 少女の両腕もまた、「指導という名の縄」が存在するかのように、がっちりと後ろ手に縛られていた。 しかし、美術教師の語る「罪」は、そんな表面的なものではなかった。 少女にはわかっていた。問題とされたのは、彼女がすでに「少女」ではなくなりつつあること。 「これは、私への罰ですか?」 少女の問いは、静寂の中をまっすぐに走り抜け、壁際に並ぶ石膏像たちへと跳ね返った。 その問いに、美術教師は即答しなかった。だが、答えは彼の身体がすでに示していた。 拡大した瞳孔、汗ばんだ鼻筋、不自然に上下する喉仏。それらが、彼の感情を、欲望を、隠しきれずに物語っていた。 彼にとってこれは「教育的指導」などではなかった。 審問という形式を装った、私的な欲望の投影であり、その執行だった。 矯正とは名ばかりで、実態は「愉悦」だった。 「お前のような身体は...もっと罰せられるべきだ」 少女の内面には、緩やかで静かな変化が起きていた。 なぜ自分が罰せられるのか。その理由が、具体的な行動ではなく、存在そのもの──この身体の形、皮膚の張り、骨の角度──にあるということを、彼女は悟りつつあった。 そしてそのとき、自分が審問者の「欲望の鏡」として機能していることにも気づく。 美術は人を裁かないはずだった。だが今、この部屋では──表現という名を借りた告発と懲罰が、確かに行われていた。 「それが、私の罪ですか?」
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸] R15
最終更新日:2025年05月31日
昭和 80年代 管理教育 名古屋 内申 中学 教師 美術 学校 性描写 読了時間:約52分(25,661文字)