一人暮らしの大学生・蒼井律のスマホに
ある日突然届いた通知。
──【水の使用量:昨日より23.2L増加しています】
送信元は“miz-no”というアプリ。
だがインストールした覚えも、存在も確認できない。
夜中、部屋に響く水音。
翌朝、濡れているはずのない浴室の床。
録音に残った、誰かの足音と囁き声。
映像に映る“もうひとりの自分”。
通知は少しずつ、“律の生活”を克明に記録し始め、
やがてその中に現れた
行方不明になった元住人・佐久間瑞季の名。
──【午前2:13 鏡の前に律と瑞季】
──【午前2:24 鏡の中の“君”は、もう出られない】
miz-noは、ただのアプリではなかった。
それは、“人間の記録”を目的とした存在。
名前、動作、姿、時間──
すべてを記録し、やがて現実を上書きしていく。
あなたがスマホを手にするその瞬間。
“誰かの視線”もまた
あなたを記録し始めているかもしれない──
夏のホラー2025 ホラー ゾクゾク 恐怖
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