この世には“妖”が存在する。 本来無害な妖も、人間の負の感情に触れれば“悪妖”へと変貌する。 妖を封じる役目を負う者、それが鎖印師。 そして鎖印師を主とし、仕えるために生まれてきた妖もいる。それが契妖。契妖は鎖印師と契約し仕え、共に戦う。 天堂麗華は、三大鎖印師家の一つに生まれた最強の少女。 契妖すら必要としない孤高の存在だった。 代々の天堂家の中でも最も鎖印術が高く、冷酷で人の感情すらも持ち合わせていないような少女。 だが、ある日出会ったのは、未熟で騒がしい鎖印師の少女・美奈子と、彼女に仕える契妖・宵人。 美奈子らに出会ってしまったが故に—— 麗華の中で止まっていた“何か”が動き出した。 感情、記憶、そして……孤独という名の鎖が、音を立てて軋み始める。