作品一覧全2件
短編
タクミとリオは、幼い頃からずっと一緒に育ってきた幼なじみ。 無邪気だった子ども時代から一変、父を病で亡くし、病弱な母を支えるために、 タクミは「医師になる」という強い決意を胸に、一人で生きようとするようになる。 友人たちとも距離を置き、勉強とアルバイトに明け暮れる日々。 心配するリオにも素直になれず、少しずつふたりの心はすれ違っていく。 それでもリオは、タクミを想い、黙ってそばにい続けた。 ときに泣きながら、ときに笑いながら―― 「頼ってほしい」と願いながら。 これは―― ずっと隣にいた人へ、「ありがとう」を伝えるまでの物語。
作品情報
現実世界[恋愛]
最終更新日:2025年06月22日
現代 青春 読了時間:約98分(48,919文字)
短編
――宇宙は、あまりに静かで、残酷だった。 人類が宇宙へと版図を広げ、無数のコロニーが群雄割拠する時代。 戦争は地上から宇宙へと舞台を移し、いまや人と機械、思想と愛が交差する闘争の只中にあった。 その戦争のさなか、ひとつの“兵器”が生まれる。 ナノマシン集合体によって構成された、完璧な偵察用ドール。 その外見は――17歳の少女。肌は白磁のように滑らかで、表情はどこか神秘的だった。 敵対勢力の高官が、亡き娘の姿を模して密かに作らせたそのドールは、 やがて戦場で「兵器」として改造され、何のためらいもなく人を殺す存在となった。 連合側の戦闘機パイロット、アカシ・レン。 戦闘よりも観察を好む孤独な青年は、戦場で何度も“彼女”と遭遇する。 敵にも味方にも捕捉されず、ただ宇宙を舞うように飛翔するその少女に、彼は魅せられてゆく。 そして、密かに名をつけた――「シオン」と。 だが、レンの開発した追尾装置が軍の目に留まり、ドールを追う兵器が完成する。 シオンたちドールは、次々と破壊されていく。 そしてある戦闘で、レンは錯乱し、僚機を撃墜。 すべてを投げ打ち、彼は宇宙服のまま戦闘機を放棄し、漂う“彼女”をその腕に抱いた。 もう笑わない彼女にレンは名前を呼びかける。 シオンが目を開けた時、レンは既に生き絶えていた。 それでも、彼女は確かに感じていた。 名前をくれた、彼のことを。 そして、沈黙の宇宙に現れる巨大船。 それは、新たな物語の始まりか、それとも終焉か―― これは、 名もなき兵器が“人”になるまでの、 記録なき物語
作品情報
宇宙[SF]
最終更新日:2025年06月17日
シリアス 男主人公 女主人公 未来 ロボット アンドロイド ミリタリー 読了時間:約22分(10,754文字)