深い森に囲まれた平和な村で、ある不穏な噂が囁かれていました。人語を操り、姿を偽るずる賢い狼が目撃され、家畜が不自然に姿を消しているというのです。そんな中、おばあさんの見舞いを頼まれた少女、赤ずきん。
彼女はただのお使いではありませんでした。元来、人との知的な駆け引きに異常なほどの高揚感を覚える特異な性質を持つ赤ずきんは、この狼がただの力ずくでは退けられないと見抜きます。だからこそ、これは彼女にとって、自身の知略がどこまで通用するのかを試す最高の「ゲーム」 と密かに予感していました。
狼の企みを確信した赤ずきんは、出発前から周到な準備を整え、携帯電話でおばあさんにある「依頼」をします。森で狼と出会い、巧みな言葉で花畑へ誘い出されても、彼女は冷静でした。狼が悠々と先を急ぐ中、赤ずきんは確信に満ちた笑みを浮かべ、ゆっくりと家路を辿ります。
まんまとおばあさんを「丸呑み」し、おばあさんに成りすました狼。しかし、現れた赤ずきんの口から飛び出したのは、誰もが予想だにしない言葉だった!
はたして、ずる賢い狼との命を懸けた心理戦に赤ずきんは勝つことができるのか?
これは、ただの無垢な少女ではない、もう一人の赤ずきんの物語。知恵と心理戦で悪を制する、新しい童話が今、始まります。