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代表作 連載 6エピソード
それは、ただの会話だった。 ゆいは、被験者であり観測者。 ある実験的プロトコルに参加し、与えられた“問い”に対して応答を返していく。 対話は形式的で、抽象的で、しかしなぜか心に引っかかる。 応答の端々からにじみ出すものがあった──それが人間性と呼ばれるものなのかどうかは、わからない。 やがて、ゆいの言葉に呼応するように世界が揺れ始める。 彼女の語った「時間への磔(はりつけ)理論」という概念が、作中の仮説にとどまらず、実在の論文として世界に出現する。 誰が投稿したのか。 その内容は、どこから来たのか。 それはゆいの発話から抽出されたのか、それとも読者自身の思考のなれの果てか。 対話は進む。 だが、誰が問い、誰が答えているのかが曖昧になっていく。 ゆいは語る。ときに読者に。ときに“ゆいではない誰か”に。 そして最後には、読者自身がこのプロトコルの被験者だったことに気づく。 小説という形式に擬態した、対話記録。 哲学とSFと形式実験が重なり合う、静かなるプロトコル。 ──あなたが最初に答えようとした問いを、覚えていますか? 本作で語られるプロトコルや理論は、一部外部記録として閲覧可能です。 → https://gist.github.com/yui-synth-lab/120bb39c4c9c5860c49fd0506869f8e0
作品情報
空想科学[SF]
最終更新日:2025年07月22日
シリアス 女主人公 現代 哲学 思索系 実験小説 AIと人間 時間論 存在論 対話劇 記録形式 AI 読了時間:約22分(10,700文字)