魔法を使うことができる人間が、そう多くない世界。
魔法は〈神より授けられし尊い力〉として尊ばれてきた。
魔法使いの数、そしてその力の強さが国力に匹敵する、と、王国では魔法使いが重用されており、魔法を使うことで成り上がることを夢見る平民も少なくなかった。
近年名を挙げた商家であるサッカレー家で、メイドとして働くエイダは、“使えない濡れ雑巾”と蔑まれながらも、魔法が使えるということを国に隠して生きてきた。
その理由は、エイダの使う魔法が、〈魔法無効化魔術〉という存在してはならない禁断の魔法であったから——。
ある日、エイダは王都の裏道で、魔力を抑えきれず苦しむ黒髪の美青年を、魔法無効化魔術で救う。
驚いた表情でこちらを見る美青年を前に、事情を説明できるわけもなく。
——どうか、このことがバレませんように……!
自分の名前も告げずに逃げ帰ったエイダだったが、後日目の前に現れたのは、なんとこの国の王太子で——!?
「エイダ。どうか俺と結婚してほしい」
顔も知らない王太子に頼まれたのは、まさかの婚約者になること……!
でもどうやらそれには、深いわけがあるようで——
嫌われ、いじめられてきた平民出身の元メイドが、禁断の魔法で王太子妃になるシンデレラストーリー
※この作品は同様の内容でカクヨム様にも投稿しています。