もう教室の前まで来てしまった。
仕方がない。覚悟を決め──。
「あ、すいません」
ガラガラガラ…
女子が一人、ドアの前に立っていた俺をのけて教室の扉を開き、中へ入っていった。
男が覚悟を決めているとき、それは絶対に侵されてはいけない神聖な時間である。ヒーローがポーズを決めて変身するときのように、そこには決して他者が介在してはならないと、恐竜の時代から決まっているのだ。
そんな宇宙の原理原則が、一人の少女によりあっけなく破られたところで、俺の高校生活は幕を開けた。
<あらすじ>
高校生活はじめの1週間を病気で休んでしまった佐々木佐竹(ささき さたけ)は、人見知りながらもなんとか遅れを取り戻そうと奮闘する。後ろの席の佐々倉さきに心を惹かれていく一方で、どんな依頼でも引き受けるフリーランス部として青春を全うしていく。
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