少年の運転するサイドカー付きのバイクは、四車線の道路を悠然と走っていた。
「んー…人、いないね、にーさん」
「そうだなー」
人類がその数を減らし始めて早十年。
お人好しの少年と頭のいい少女は旅をしていた。
少年はまだ、生きることに希望を見出すことをあきらめられなかった。
世界でまだ、理想を抱くことをあきらめられなかった。
少年は理想に向けて生きていた。
死を受け入れた世界で、少年は死を拒む。
少年の目指す理想にゴールはあるのか。
答えを探す少年と、答えを見つけた少女たちと、答えを探している子供たち。
生きていれば、世界にも未来はある。
少年の目指すその先に、幸福は待っているのだろうか。
お人好しの少年と、彼が巻き込んだ人物たちが織りなす、うらびれた世界での物語。