元亀二年九月十二日――この日、信長の手によって比叡山の焼き討ちが行われた。
僧侶、学僧、児童――逃げ惑う多くの者が見つけ次第、斬首され、踏み躙られていく中で、一人の僧侶がある術を用いる。
憎悪を持って行われた儀式は、魔を司る大門を押し開く禁断の秘術だった。
僧侶の命と引き換えに押し開かれた地獄の大門からは、無数の亡者共が溢れ出し、それは見境無く暴れ出した。
これに対し、信長は一時撤退後、二度目の比叡山進攻を開始し、著名な僧侶達の協力の下、比叡山に開いた大門を封じる事に成功する。
しかし、時既に遅し――
秘術によって空間の繋がりが乱れた事によって、各地で地獄の門が開き始める。
そして、そこから溢れ出た亡者達は圧倒的な数と力で、人々の住処を奪っていった。
元亀三年二月十日――多くの国が亡者を前にして崩壊していく中、ようやく各地の大名達は生き延びる為に手を組み始める。
全ての国が同盟によって結ばれた頃、日本の半分は亡者が蠢く死の土地となっていた。
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