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短編
 本小説の大筋の流れは、一話ずつ主人公の「私」がインタビューを実施していく形式で場面が綴られていく。  種田キヨ子へのインタビュー。国営JRで、自前のほうきとちりとりで誰よりも仕事をこなす。私は、テクノロジーが人々に与えた恩恵は無かったのではないかと憂う。  トラック運転手の菊池源次郎へのインタビュー。不況の中、源次郎が愛車を手放す心境を切々と、そして明るく語る。私は、どん底に落ちた人の哀愁を知る。  佐藤賢一教諭へのインタビュー。彼の教え子、正志の家を訪ねる。正志の描いた、改札でキップを切る駅員の絵について話を聞く。こういう世の中が一番良い、という正志のあどけない言葉を噛みしめる。  美容師の田中に髪を切ってもらう私。景気は悪いが、比較的影響を受けずに日々の仕事をする田中。彼の視点からの世の中についても聞く。  その頃官房長官の朝倉が、古賀政権の存亡をかけて打ち出す施策を発表する。今まで誰もが思いつかなかった大規模公共事業。前代未聞のプロジェクトリーダーに、高林宏行が任命され、記者発表の場で披露される。  古賀総理も、この記者発表を見ながら大変満足する。高林を招きこのプロジェクトを全面的に推進する事を誓う。  そして、このプロジェクトの終盤には、思いがけない波及効果が現れて・・・世の中が未知の価値観で満たされていく様子が描かれていく。
作品情報
ノンジャンル[ノンジャンル]
最終更新日:2013年02月27日
読了時間:約98分(48,908文字)