『ヴォイニッチ手稿』
解読不能の言語で書かれた、とある手稿が世界にある。
姉さんは言った
「---世間一般で言われているあれは、偽物だ」
と。
そして姉さんは続けた
「本物は、この世に唯一残った、最後にして最高かつ完璧な…」
一瞬の間、姉さんは口角を上げて嗤う
「魔導書だ」
ページが解け、バラバラに散らばった『魔導書』
再びその本を復活させたものには、大いなる叡智と魔導の総てが与えられるという。
「どうだ征嗣。蒐集家にならないか」
眼鏡の奥で、瞳が真っ直ぐ僕を射抜く。
僕は、ふぅ、と溜息をついて
「断れそうな雰囲気でもないしね、やろうか。魔導書集め」
ページを片手に答えた。
そして始まる蒐集ゲーム
ある者は、復讐を。
彼の者は、悲願を。
またの者は、安寧を。