すべては、王が変わったあの日から始まった。
美女は王の私欲を満たさなくてはならない。王はそんな命令を下した。
国中から美女が連れ去られ、城へと軟禁させられてしまう。
青年 チャールズの姉 イスカはラズロ村一番の美女であった。
それを嗅ぎつけた王がたいそう気に入り、イスカを城へ連れ去ろうとする。
命令だと分かっていながらもそれを抗ったチャールズは王の気を悪くする。
王の命令でチャールズは死刑囚として捕まってしまう。
冷たい牢屋に閉じ込められようとも、彼は祈った。
姉を助けたい、母と姉と再び普通の生活を送りたい。
チャールズの祈りは天に届いた。
彼の前に降り立ったのは神様でもなく天使でもない、悪魔だ。
黒いコートを着た、女だった。
彼女はハンナと名乗る。
重罪人の、指名手配犯の、顔に傷のある女だった。
.