ヒモ男という存在を知っているだろうか。簡単に言えば、女性からお金を求める男のことだ。どれだけ金額を多かろうが、少なかろうが、女に金銭面で頼ってしまう男は間違いなくヒモ男である。容姿、演技、会話で女から金を貰い受ける様は、下等な悪魔か寄生虫の如き所業である。
さて、諸君はヒモ男をどう思うか。当然、人間の屑と罵るべき存在だと唾棄するだろう。だが、考え直してみて欲しい。ヒモ男にも事情があるのだと。
俺の様な日本人高校生が、突然異世界に転移してしまうとしよう。そこが近代レベルの技術力を持っていて、文化・文明レベルが成熟しており、現代地球人の目から見ても未開の地とは言えない世界であるとしよう。俺は、現代日本で安寧と暮らしていた人間の浅はかな知識が全く通用せず、鍛えても居ないから非力な身体であったとしよう。そんな世界で、金無し、伝手無し、この世界の常識無しの状態で、一体何日、何時間生きていけるか、考えてみよう。答えはすぐ死ぬか、生きる為に屈辱に塗れるかのどちらかである。
ここまで言えば分かるだろう。過酷なのだから、女に頼ってしまっても良いよねと。
この物語は異世界に転移した俺が、チートも何もなく、ただ女に拾われた幸運だけが有ったという、それだけの話である。