『シミュラクラ現象』というものをご存知だろうか。
シミュラクラ現象とは、「逆三角形状に三つの点が配置されていると、それが人の顔に見えてしまう」という現象のことである。
わかりやすく言えば ∵ これが顔に見えてしまうということだ。
人は他人や動物と出会った時、敵味方の区別をし、相手の動向を探るために、本能的に相手の目を見る。また目の下には口があり、両目と口で逆三角形に顔を形成している。つまり両目に相当する点二つと、口に相当する点一つがあれば、人の脳は本能的にそれを『生物の顔』と判断し、警戒してしまうのである。
このシミュラクラ現象で、多くの心霊現象は説明できる。
代表的なものはやはり『心霊写真』だろう。「写真に見知らぬ女の顔が映りこんでしまったー」とか、「無数の顔が映りこんでしまったー」とか、まあ言わずともわかるだろう。察せ。
今更だが、俺はこれっぽっちも心霊現象を信じていない。あんなものは嘘っぱちだ。
だが、そんな俺の身に、少し気になることが起こり始めていた。
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