「朱埜、少し修行に出てみない?」
「へ?」
世の中は様々な怪異にあふれている。
それらの内、特に人々に災いをもたらすものを妖魔と呼び、それらを治めることを生業とする者たちがいる。その者たちは退魔士と呼ばれ、霊力という力を用いて怪異、ひいては妖魔から人々を守ってきた。
鈴原 朱埜は代々この退魔士を生業とする家系の退魔士だ。鈴原家は優秀な退魔士を輩出していた。中でも朱埜の母である橙湖は稀代の退魔士と呼ばれるほどの高い霊力を持っており、一人息子である朱埜には多大な期待が寄せられていた。
しかし、朱埜には周囲が期待するほどの力は見られなかった。
「朱埜はね、伸び代はあるのよ。努力もしているし。ただ方向性というか、鈴原の技が合っていないんじゃないかしら。ならいっそ別の技を学ぶのも良いかなって」
……退魔の技って合う合わないなの!?じゃあ今まで必死に身につけようとしてたのは!?
まぁそれならそれで新たな物を学ぶのもありですが……。
高校生最初の夏休み。山に籠って修行します!出来ないまま、馬鹿にされたままは悔しいしね!
だって僕は、鈴原の退魔士だ!!
現代ファンタジー 男主人公 高校生 退魔士 あやかし 天狗 ほのぼの
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